2013年7月22日月曜日

不確定性原理

 先日、小澤の不等式が実験的に確認されたというニュースがありました。これまでの不確定性原理は不正確で、ハイゼンベルグの不等式に修正が入るとのことです。

 このコラムを書いているときに、ハイゼンベルグと入力したら「配膳ベル具」と変換されたくらいなので、たぶん一般の方には縁のない話題なんだろうと思います。でも、量子力学を学んだことがある人にとっては、インパクトが大きいニュースです。

 例えるなら、ニュートンの運動方程式がアインシュタインによって修正されたとか、アインシュタインの方程式の宇宙項が実は必要なかったとかに次ぐくらいのインパクトです。この例えが分かる人も限られていますが・・・。日本史で例えるなら、源頼朝の肖像画が、実は違う人物だったくらいのインパクトでしょうか?

 恥ずかしながら理論の詳細までは知らないのですが、従来の不確定性原理に量子揺らぎの効果を正しく組み込んだという内容らしいです。100年近く信じられていた理論に修正が入るというのは、少なからず感動します。

 小澤先生と研究グループの方々に敬意を表したいと思います。

技術を語ろう

 まったくもって私見ではありますが、世の中の人は、既存の技術に満足してしまっている傾向があるように思います。

 身の回りには、生活を便利にしてくれる技術が多数ありますが、その中身は複雑で難しいものばかりです。「技術の中身は分からないけど、便利に使えるからそれでいいや」といったぐあいに、現状に満足してしまうのも仕方ないかもしれません。

 でも、技術の中身をよく見てみると、実はまだまだ改良の余地が残っていたりするものです。というわけで、今回は勝手ながらいろいろな技術について語りたいと思います。
(・・・そういう話が好きなんです。)


 余談ですが、最近の宣伝は、「さらに便利に」というフレーズがよく使われている気がします。いかにも新技術を搭載しているようで、その実、さして面白味のない技術だったり。購買者の注意を引こうとしているのは分かりますが、人をだまそうとしている感じがして残念ですね。


閑話休題


~~~ メモリの話 ~~~
 IT技術の要であるコンピュータは、基本的には演算素子と記憶素子(メモリ)で構成されます。メモリには様々な種類があります。動作が速いDRAM、容量の大きいハードディスク、その中間くらいのフラッシュメモリなどです。

 ここで注目したいのはDRAMです。DRAMは動作が速いので、普通のコンピュータなら間違いなく使っています。DRAMの原理はコンデンサと同じで、電荷が貯まっているかどうかで記憶を行います。貯めている電荷は自然に失われていくので、DRAMを使うときは、定期的に電流を流して電荷を貯めなおす必要があります。これをリフレッシュと言います。

 DRAMのリフレッシュ動作は、できればなくしたい動作です。リフレッシュの必要がなければ動作は簡単になり、省エネになります。

 そこで期待されているのが新しいメモリです。現在開発が進められている新しいメモリには、MRAM, ReRAM, PRAMといったものがあります。残念ながらDRAMの性能を上回るものはまだありません。ですが、DRAMの代替になるものが現れれば、それは大きなブレークスルーになります。

 例えば、計算速度が必要ない分野なんかで、DRAMをMRAMに置き換えた方が、消費電力の観点で得をする、なんてことがあるかもしれません。いろいろと想像が膨らみます。

 私は新しいメモリの登場に非常に期待しています。

~~~ パワー半導体の話 ~~~
 少し前から登場しているSiC、GaNといったパワー半導体も興味深い技術です。たぶん全然知らないという人も多いだろうと思いますが、パワー半導体は今後様々なところで活躍することになると思います。

 これまでの半導体は、コンピュータのように電圧の低い領域で主に使われていました。電圧の高い領域で使うSiの半導体もあるのですが、それらは発熱が大きいとのことです。SiCやGaNというのは高い電圧でも使えて、さらに省エネになる新しい半導体材料のことです。

 パワー半導体を使うと高い電圧を細かくオンオフできるので、より効率的な制御ができるようになります。自動車やエアコンなどのインバータに使われ始めているとのことなので、数年後には、知らずに身近なものになっているかもしれません。

~~~ 3Dプリンタの話 ~~~
 最近話題の3Dプリンタも面白い技術です。任意の3次元形状を簡単に作れるので、フィギュアの型なんかを作っていると聞きます。部品の試作なんかでも有用とのことです。

 3Dプリンタを使うには、3次元CADが使えないといけません。3次元CADを使いこなすのは意外と難しいです。3Dプリンタが普及すると、3次元CADも普及していくと思います。

 3次元CADを勉強しなきゃと思う日々です。

~~~ 自動車の話 ~~~
 日本の産業の代表格と言えば自動車です。ハイブリッドカーが登場して久しいですが、燃費の向上は自動車の最重要課題です。最近では電気自動車も公道を走っていたりします。燃費の改善は今後も続いていくことでしょう。

 燃費以外にも、障害物の自動検知とか、さらには自動運転といった技術も開発されつつあります。車が自動的に動くとなると、交通事故の責任は乗っている人にあるのかメーカーにあるのか、という法律の問題が出てきますが、そういうことも含めて、興味深い話だと思います。

~~~ スマートグリッドの話 ~~~
 地球温暖化や資源の枯渇の話から、エネルギー関連の技術にも注目が集まっています。原発事故があってから、自然エネルギーの利用が大きく取り上げられるようになりました。太陽電池や風力、水力、波力、地熱などなどです。スマートグリッドとは、そういった様々な形態で発電されたエネルギーを組み合わせて利用するための技術です。

 化石燃料への依存を減らすにはどうすればいいか?どういう発電を組み合わせるのか?例えば小型の水力発電を開発するとして、どこに設置してどのように利用するのか?いろいろと想像が膨らみます。



 以上、適当に書いてみましたが、文章が下手なために、雑な内容になってしまいました。気になる点がある方は、とりあえずWikipediaあたりで調べてみてください。

 メジャーなところを書きましたが、技術の話はいたるところに、いくらでもあります。自動車、コンピュータ、電力、衣服、食品、住居。どんなものでも、それを作っている人がいて、それを作るための技術があります。そして、それらの技術を改良する余地がいくらでもあります。省エネ、低価格、高効率、低環境負荷のための技術の改良には際限がありません。

 書いてみて改めて思うのですが、技術の話は本当に奥が深いです。「この技術は従来のものとどう違うのか?どのように利用されるのか?」というように疑問がつきません。技術の話は確かに難しいのですが、難しいからと避けることなく、多くの人が技術の話に興味を持ってくれたらと思う次第です。

 技術の発展は社会を変える力を持っています。そして、そういう技術が経済に活力を与えると思います。技術者を目指す若い方々には、現状に満足せず、よりよいものをという向上心を持ってもらいたいと思います。
(なんか年寄くさい・・・)