2011/7/17に書いたコラムです。少し加筆しています。
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巷ではドラッカーのマネジメントが流行っていますが、私は孫子の兵法の方が好きです。武田信玄も曹操もナポレオンも孫子の兵法を学んでいたと言われています。二千年以上もの間、失われずに伝えられてきたその内容は、含蓄に富んでいます。
孫子の兵法は、春秋時代の兵法家、孫武が著したものとされています。孫子の兵法の良さはその内容が論理的、合理的、実践的であるということです。その論理はまるでシャーロック・ホームズの推理を思わせます。その内容を私なりに少し紹介してみます。
そもそも戦争とは国の存亡をかけた重大事項です。戦争に負ければ大きな損害を被ります。よって勝てる見込みがなければ戦ってはなりません。現代の経営学に当てはめると、営業なら勝てないコンペはやらない、開発なら成功しない開発はやらないということです。失敗すれば損するだけです。勝てる見込みがあるから戦うのです。
勝敗の見込みを知るには、相手をよく知り、自分をよく知るということです。自分にとって有利な点、不利な点を総合的に鑑みて、戦局を分析します。戦局を正しく見切れれば、負けることはありません。負けそうなら戦わないのです。つまり「彼を知り己れを知れば、百戦して殆うからず」ということです。
どんなに戦局を正しく分析できても、必ず勝てるわけではありません。負けることはなくても勝てるとは限らないのです。それだけ勝利を得るのは難しいことです。「彼を知り…」という言葉は、勝つことの難しさも物語っています。
確実に勝利を収めるには戦力を集中しなければなりません。持ち駒が無数にあるなら戦力を分散させられますが、持ち駒は常に有限です。戦力を集中して、十をもって一を攻めれば、勝ちやすいのは当然です。いわゆる選択と集中というやつです。
戦力を集中させるためには、陣形を柔軟に変えられる必要があります。陣形の極みは無形です。硬直化した組織では戦力を動かせません。常に組織を変えていくこと、これが戦力を集中させるコツです。
無形が望ましいということは個人にも当てはまります。常に自分を変化させること、これが自分を強くするためのコツです。一つのことを続けていくことも重要ではありますが、それでは時代に取り残される可能性があります。「転がる石に苔はつかない」という言葉は2つの意味に解釈されますが、孫子の兵法では「転がり続けて、常に自分を新しくする」ことを良しとしています。
以上が私なりの孫子の兵法の解釈です。もちろん、ここに書いたことは孫子の兵法の一部に過ぎません。興味を持った方は孫子の兵法を読んでください。
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参考文献 : 「孫子の兵法」 守屋洋著 三笠書房 知的生き方文庫
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